こんにちは、こがみのりです。
おすすめしたい本はたくさんあるので悩みましたが、今回は幼いころに読みふけった、『火の鳥 鳳凰編』を選びました。
あらすじ
舞台は奈良時代中期の日本。
醜い姿で何人も人を殺してきた我王と、エリートの茜丸という、正反対の二人が、仏師として彫刻作品を競い合う物語です。
殺人鬼の我王は素行の悪さから不幸な死に方をしそうですが、意外にもエリートの茜丸の方が悲惨な死に方をします。
我王に助けられたてんとう虫が、人間に変化して、妻として寄り添い支えるという話もあります。
我王はさんざん人を殺してきたのに、虫を一匹助けただけで救われるのです。
オススメポイント
この作品は、
- 生きるとは何か?
- 死ぬとは何か?
- 因果応報とは何か?
ということがよく描かれています。
「自分はこんなに頑張ってるのに、なぜ結果がついて来ないのか?」と不幸な自分を責めたり、他人を責めたりする人もいます。
エリートとして頑張ってきた茜丸はこのような心境でしょう。
ご縁は色々なところで繋がっています。
どこで原因と結果ががつながっているのか、というのは今世だけでは判断できないこともあります。
来世や前世が影響しているときもあります。
この作品を読めば、より因果に関する視野を広く持てるのではないかと思います。
悪人で成功した我王と、努力して技術を磨いた茜丸。
仏師として作品を作った二人の違いは、「道」と「術」の違いだと感じます。
道は自分が進みたいと思って進む場合もあれば、自分にそのつもりはなくても、振り返ってみたら道になっていた、という場合もあります。
我王の場合は、後者。
結果的に道になっていたのです。
我王の道は決して綺麗なものではなく、むしろ人を騙し、殺すほどの悪人。
でもそこに『貫く何か』があったのです。
対して茜丸の場合は、仏師の道を強く志して地位や名誉を手にしました。
その結果、自分を見失い、道から外れ悲惨な死に方をします。
道を志す人のみが素晴らしい人生をおくるのではなく、その人の生き方そのものが道となる。
それこそが美しい人生といえます。
「これから成長していきたい」とか、「なんで自分ばかり苦しいんだろう」と思っている時に読んでみると、何かヒントを与えてくるかもしれません。
『火の鳥 鳳凰編』は、セリフを全て覚えるくらい読み込みました。
教科書にしてもいいのではないか、と思うくらい読むたびに色々な発見のある作品です。
一度読んでみてはいかがでしょうか。