お茶

茶話 祈りながらお茶を淹れる

神様とつながるお茶 

茶葉にお湯を注いで、急須の蓋をして、しばし待つ。

その間、五感を研ぎ澄まして、目を閉じ、全感覚で空間を感じてみてください。

湯気とともに立ち昇る香り。茶器のぬくもり。素朴な手触り。自分を包む空間の広がり。まぶたを透かして感じる光。流れる音楽。鳥のさえずり。戸を叩く風の音。遠くで笑う人の声。

全てを感じ尽くしたら、自分と空間とが溶け合ったかのような、深い瞑想状態になるでしょう。まるで、夢の中にいるような感覚。

そんな瞬間に祈ったことは、自分の心の一番深くまで浸透していきます。

そして、あなたの心の奥にいる神様も、きっと聞き届けてくださるでしょう。

自分の、相手の幸せを祈る

祈りながら、お茶を淹れてみましょう。

「祈り」とは「イメージ(意・明示)すること」。

「心から喜んで頂けますように」というように、自分の意思をはっきりさせることです。

自分が飲むお茶を淹れる時は、自分自身がエネルギーに満たされて、明るく、軽く、温かく、熱く、元気になっているところや、心が浄化されてクリアになっていくところをイメージしながら淹れると良いでしょう。

しかし、お茶を淹れている時に、ネガティブなイメージを持ってしまうと、そのネガティブがお茶に入ってしまいます。

お茶がまずくなり、濁ってしまうのです。

そのネガティブ入りのお茶をお客様にお出ししてしまった場合、その方が明るくご機嫌さんな状態だったとしても、お茶を飲んだ後、もやもやし始めます。

つまり、淹れる人のイメージがお茶に投影され、そのお茶を飲むことによって、飲む人にまで影響を与えてしまうのです。

自分の淹れたお茶がどうなるのかは、お茶を淹れる前からすでに決まっているのです。

ですから、大切なのは、自分が心穏やかな状態で、お茶を淹れることです。

そして、相手にどういう時間を過ごしてほしいか、とイメージすることです。

例えば、その人がお茶を飲みながらほっこりして笑顔で、とイメージすると、自分の気持ちもそちらに向きますよね。

自分の意思を明確にそちらに「指し示す」という意味でも、「イメージする」ことが大切なんです。

「お蔭様」の気持ちは忘れない

今日、自分がお茶を淹れられるのは、お茶を育てた大自然と、農家さんのお蔭。

茶器を作ってくれた職人さんのお蔭。

その他にも無限に広がる人々の支えがあって、ようやく一杯のお茶を淹れることができる。

もはやそれは、自分だけの作品じゃなくて、神様からの賜り物。

お茶を淹れる自分は、ただそれを相手にお取り次ぎするだけの存在。

いつも謙虚な気持ちを忘れないように、祈りの最後に、心の中で次の言葉を唱えるといいですよ。

『惟神霊幸倍坐世(かむながらたまちはえませ)』

これは神道の言葉で、「すべて神様の御心(みこころ)のままに。結果はすべてお預けいたします」という意味です。

つまり、お願い事はするけど、欲や執着は手放すということ。

自分の心をチューニングするための、大切な言葉なんです。

祈りのお茶

自分の調子が良くない、落ち込んでいる、イライラしている、そんな時は、どうすればいいのでしょうか?もう、おわかりですね。そう、お茶に助けてもらいましょう。

例えば、わたしが朝イライラしていたとします。

でも、お客様が来店されたら、自然と、「このお客様にとって、茶肆でお茶を飲むこの時間が、どういう時間として人生の記憶に残るのか?」と、考え始めます。

お茶を淹れるその瞬間に、目の前の相手のことを考え、良いイメージをすると、ポジティブになっていきます。それまでのネガティブシンキングの、逆回転が起こり始めます。

もし、自分が誰かに淹れるわけではないとしたら、そのお茶にどういう空気が宿ってほしいかを考えます。

自分が朝茶をする時、「朝茶のこの時間ってどういう時間だったかな」と思い出すだけでもいいんです。

「自分はこういう生き方をしていこう」とイメージするのです。

「自分がその日1日、心安らかに出会った人のために奉仕の生き方をして・・・」といったように、祈りながら淹れると、もし自分が調子が悪くて、下向きになっていたとしても、上向きに意識を切り替えていくことができるのです。

誰かのために「この人がいい時間を過ごせたらいいな」、自分のために「今日1日こういう生き方ができたらいいな」「このお茶にこういう神様が降りてきたらいいな」そうイメージすると、悪い流れが止まるんです。

祈りのお茶。それは誰かのためでもあるけれど、自分のためでもあるのです。

お茶は人生の「幸せスイッチ」

「祈りのお茶」習慣を続けていくと、お茶の時間だけでなく、お茶を淹れる15分間の、残りの23時間45分間の生き方も「そのお茶の時間をこう過ごせればいいな」という祈りになり、日常が祈りになるんです。

自分が朝一番のお茶をやると決めたら、自然と、朝以外の時間の過ごし方も変わってきます。

「朝茶の時に良い状態でいるために、今、どういう時間を過ごそうかな?」と考え始めた時点で、気持ちが上に向き始めるんです。

もし、「何でわたし今、こうなんだろう?」と考えていたとしても、「あ、でも明日の朝茶ではこういう時間が過ごしたいから、今日はしっかり浄化して寝よう」というように自然と行動が変わっていきます。

お茶の時間を祈りの時間にするだけで、その他の時間も祈りの時間に変わっていく。変えていくのです。

「祈りのお茶」は人生の「幸せスイッチ」です。

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