2,018年5月31日、『ゆにわの田植え』が埼玉県の網本さんの田んぼで行われました。
なぜ、網本さんの田んぼで行うのか?
なぜ、御食事ゆにわでは網本さんのお米を使用しているのか?
参加者である高垣さんのレポート記事からぜひ感じてください!
テーマは、「一人ひとりの神話を呼び覚ます」
日本神話「古事記」の中には、お米づくりの始まりが描かれています。
日本で、「水・米・塩」を神棚にお供えするのも、お米は神様から賜った光そのものだからです。
『ゆにわの田植えイベント』のテーマは「日本神話に描かれたお米作りを体感し、一人ひとりの中に眠る神話を呼び覚ますこと」。
命は、幾度も輪廻転生を繰り返し、太古から命の記憶を受け継いでいます。
その命の記憶は、一人ひとりの中に神話として眠っています。
その神話を呼び覚ますために必要なのが、お米に宿る“光”。
田植えを通して、お米から“光”を受け取り、まるで八百万の神様のようにさまざまな才能を目覚めさせよう、というテーマでイベントがスタートしました。
網本さんの田んぼの始まり
網本さんは有機農業の第一人者との出会いをきっかけに農業を志し、自然農法への挑戦がはじまりました。
もちろんそれはカンタンなことではなく、毎日が課題の連続。
「無謀」と言われながらも、自分が信じたお米づくりを貫き通しました。
そしてようやく、稲の生命力を生かすことで、除草剤や化学肥料を使わなくてもたくさんの収穫をあげることができる有機農法を見つけたそうです。
「みんな、ここにいていいんだよ」っていう田んぼ
網本さんの田んぼは、かなり特殊。命を活かし、命が受け継がれる田んぼです。
多様な生き物が育まれ、生態系を壊すことはありません。
だからこそ「とれたものは全て自然にお返しする」ということを大切にしてこられました。
稲は本来とても強い植物。
その生命力が遺憾なく発揮されれば、農薬に頼らずとも、雑草や害虫を自力で駆逐するそうです。
稲の「自主性」を第一に考えて育てている点も網本さんの田んぼの大きな特徴です。
網本さんのお米づくりへの思い
日本古来より、稲作は「ご神事」として捉えられ、人々の生活の根底にあるものでした。
お百姓さんたちは、春には五穀豊穣を祈り、収穫の時期には豊穣のお礼を天に捧げ、いつも神様とともに生きていました。
しかし、時代とともにそのような姿は少しずつ消えていくようになりました。
そのことについて網本さんは、
「今は文明が発達し、進化した技術を利用すれば、人間の都合で効率よくお米を育てられます。
でも、それは本来のお米づくりの姿ではありません。
お米が育ちたい姿で育つのに、薬は必要ないのです」
と語られていました。
さらに、自らのお米づくりについては、
「植物は、本来の姿で育つから命が喜ぶのです。
その命の喜びは、他の生物にも共鳴を起こします。
命の喜びが広がっていくと信じているから、自分たちも幸せな気持ちでお米づくりができるのです。
僕たちは、この田んぼに生きる生物たち全ての命の喜びを感じながら、お米を育てています」
とおっしゃっていました。
私は網本さんの力強い言葉と、傍らで見守られている奥様の笑顔を見て、本当にお米づくりを愛しておられるのだなあと、感動せずにはいられませんでした。
網本さんの“共生農法”とは
一般的な農薬化学肥料を使った栽培方法では、写真左の「2.5葉」の稚苗(ちびょう:幼い苗)を植えます。
まだ自力で根や葉を出せない苗です。
一方、網本さんは、写真右の「4.5葉」の成苗(せいびょう:大人の苗)になってから田植えします。
この段階になると、土からの栄養素を自力で吸収し、育つチカラがあります。
稲そのものがたくましいため、農薬や化学肥料に頼らない栽培が可能なのです。
人の温もりを感じる肥料
田植え後に使うのは「米ぬか微生物肥料」。
米ぬかを数10種類のミネラルを含む液体と混合し、微生物で発酵させたもの。
稲ワラや籾殻を土に還りやすくする役割も担います。
御食事ゆにわ店長 ちこの言葉
「私は、まるで自分がニニギノミコトの姿になり、アマテラスオオミカミに授かった稲穂を授かったようなイメージで、田植えをさせていただきました。
かつて、北極老人が『米は神代の記憶』とお話されたように、食には全ての記憶があります。
大切なのは、『自分が今、どの記憶と繋がっていたいか』です。
お米は光そのもので、私たちは、その光をいただくことで生きています。
私たちの祖先も、お米の恩恵によって命をつないできたのです。
何故、日本人が古来より神道の教えを守り、受け継いできたかを、どうか皆さん、今日の田植えから思い出してください」
田植えの締めくくりとしてこの言葉を聞いたとき、ちこさんが守ってきた、ゆにわの歴史の大きさを感じ、胸が熱くなりました。
御食事ゆにわで網本さんのお米をお出ししているのは、日本神話を再現したかのような農法だから、とのこと。
ゆにわと網本さんの特別なご縁を感じました。
この出会いの物語はとっても興味深いのですが、詳しくはこの秋に発行される書籍「美味しいごはん」で紹介されるそうです。
なので、この記事では控えさせていただきますね!
レポーター高垣の感想
網本さんの愛に育まれ、お米のエネルギーに輝く田んぼ。
それは、言葉では決して伝えきれないほど素晴らしい光景です。
田植え前、参加者全員で田んぼに集う生きとし生ける命、そこに宿る神様にお祈りしました。
その神聖なひと時は、まるで太古の空気が再現されているかのようでした。
そして、心の中で祈りながら田植えをしていくのですが、手に握る苗の1つ1つに、まるで赤子のような命の尊さとあたたかさがありました。
自分の命は、この世のあらゆる生命によって支えられていること。
愛し愛されて生きているということ。
そして、今の自分たちの生き様が次の時代にも繋がることを感じるたびに、腹の底から「これからの人生、自分にできる精一杯を生きていこう」との思いがわいてきました。
田植えを終える頃には、「私も神、あなたも神、大地自然、生けるもの、存在するもの、すべてに神宿る」、この言葉の意味を心から実感し、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
人生で大切なことは「どんな場所で、どんな人と、どう生きたいかだ」ということを改めて学べた一日でした。