思い出そう、食べることは生きることそのものなんだって
毎日のごはんを、何よりも大切にすること。
それは自然を愛することであり、一緒に食卓を囲む家族や、仲間を、心から愛するということなのだと思います。
仕事より、勉強より、結婚より、実績より何よりも、ちゃんとごはんを作り、食べることの方が、ずっとずっと大事。
だって、食べものは自分自身の、そして自分が愛する人の、いのちに変わるものだから。
人生を変えるには、ごはんを見直せばいい。
とってもシンプル。
こんなに簡単に、こんなに早く、誰でも幸せになれる方法が、目の前にあるのです。
それなのに、仕事や子育てで忙しい、手間がかかる、お金をかけたくない、料理が苦手‥いろいろな理由で、日々のごはんがおろそかになってしまっている方が、どれほど多いことでしょう。
コンビニ食、ファーストフード、手軽な食事が増え続ける中で、いのちを育む、美味しいごはんが失われていっています。
日本人みんなで、もう一度、食べることの意味を、考え直してみませんか?
そんな思いを込めた映画『美味しいごはん』。
そこに映されているのは、何よりもごはんを大切にして生きてきた私たちの、飾らない日常です。
派手なパフォーマンスよりも、日常の中にこそ、幸せへの入口があり、人生の真実があると思うから。
たった一つのおむすびが、私の人生を救ってくれた
はじまりは18歳とき。
当時の私は人間関係、勉強、部活、アルバイト、すべてうまくいかず、心も身体もボロボロでした。
実はそのとき、この世で一番嫌いだったのが「白いごはん」。
しかし、そんな私を絶望の淵から救ってくれたのは、人生の恩師が作ってくれた、たったひとつの「塩おむすび」でした。
なんだろう、今まで食べてきたおむすびと違う。
食べた瞬間、感動し、涙し、身体じゅうに光が満ちていくようでした。
生まれてから、私は何千回も、何万回も、白いごはんを食べてきたのに、お米の本当のちからに、気づいていなかったんだ。
水、塩、米。
それだけで人は、こんなに幸せになれる‥。
そのことを教わって以来、世界が変わりました。
やすらぎと幸せに満ちた毎日がはじまったのです。
こんなに美味しいごはんが食べられたら、もうほかに何もいらない。
これからも、そう思い続けられる人生を歩みたい。
私の人生の軸が、この時から「一緒に過ごす人たちと、美味しいごはんを作り、食べること」になったのです。
あたりまえの食卓から、ありえない奇跡が起こる
2006年の冬、大阪府枚方市の楠葉という町で、志をともにする仲間と一緒に『御食事ゆにわ』をオープンしました。
そんな『ゆにわ』には、他のお店にはない、ひとつの特色があります。
それは、スタッフのまかないを何より大切にすること。
2015年には、その「まかない」をお客様にも食べて頂けるお店『社員食堂ゆにわ』もオープンしました。
なぜ、それほどまで、「まかない」を大切にするのか?
自分たちが美味しいごはんを食べていないのに、お客様に美味しいごはんを出せないから。
自分たちが幸せじゃないのに、お客様に幸せになってもらえないから。
嘘をつきたくなかったからです。
だから徹底的に、日々のごはんを守り続けてきました。
まるで長年続く神事のように。
もちろん、忙しい日常の中でそれを守り続けるのは簡単ではありません。
毎日が挑戦で、葛藤の連続。
その風景は、この映画の中にも映し出されることになると思います。
みんな幸せになれる、ごはんのひみつ
開店から十余年。
日々のごはんを守り続けた結果、「ゆにわのごはんを食べると開運する」と評判になり、メディアの出演や、書籍出版などの機会もいただき、「御食事ゆにわ」は、多くの方が日本全国から足を運んでくださるお店になりました。
その中で、ごはんのちからによって、みなさま人生が変わる瞬間を、何度も、何度も、見せて頂きました。
- ごはんをきっかけに、離婚寸前から、絆を取り戻したご夫婦。
- 8年間、恵まれなかった子どもを授かった女性。
- 30年以上、悩み続けていた頭痛が治り、仕事も家庭も人間関係も変わった社長さん。
- 一日ほんの一口しか食べられなかった拒食症から、ごはんをおかわりするくらい元気になった女の子。
例をあげればキリがありません。
難しいことは何もない。
ただ、ごはんのちからを知り、食べ方を変えただけ。
たったそれだけで、心が満たされて、表情も豊かになる。
そして、いのちの尊さ、愛情の温かさ、自然の偉大さ、かけがえのない日々のありがたさに敏感になれます。
すると、毎日のなにげない選択のひとつひとつが変わり、行動も言葉も変わり、人生が変わる。
それだけではありません。
心が満たされると、食べる人が幸せになる美味しいごはんを作れるようになるのです。
上手じゃなくたっていい。
プロにならなくてもいい。
これは、一人暮らしの学生さんでも、子育てに奮闘するお母さんでも、一家を支えるお父さんでも、老若男女、誰にでもできること。
だからこそ、日本中の人が同じように幸せになれる可能性が眠っていると思うのです。
100年後の日本を守るために、今日、美味しいごはんを食べよう
ライフスタイルの欧米化が進み、多くの日本人が食の大切さを忘れかけています。
また、大切にしたいと思っても、お金がない、時間がない、人手が足りない、どうしようもない事情から、インスタントやコンビニ食に頼らざるを得ない方も多いでしょう。
この現状を、なんとかしたい。
このままでは、日本の食が危ない。
未来をになう、かわいい子どもたちの健康はどうなるの?
そんな危機感を持っているのは、決して私ひとりではないはず。
それなら力を合わせて、ごはんの大切さをもっと多くの人に伝える〝なにか〟ができないだろうか?
そう考えていた矢先、この映画製作のお話しが舞い込んできたのです。
私はこの映画で、食卓の美味しいごはんから、日本中に幸せを広げたい。
そう願っています。
「日本中」なんて、大げさに聞こえるでしょうか。
でも、本気なのです。
日本人が古来より、もともと持っていた精神性を、食を通して蘇らせたい。
ごはんによって、日本人のすばらしさに気づき、目覚める人たちが増えたなら…。
きっと幸せな人たち、幸せなご夫婦、幸せな子供たち、幸せな働き方をする方々がいっぱいの素敵な世の中になっていくと信じています。