子育て・教育

子どもが幸せに成長するための両親の役割とは?

弟や妹が生まれ、兄や姉としての役割を持ち始めた子どもはどう変化するでしょう?

家族の数が増えると、一人ひとりが家庭内の秩序を保ち、役割を守る意識が必要になってきます。

そんな時、親が気を付けることとは?

家族皆で成長する秘訣を村田が伝えます。

子どもの様子をいつも見ていると、今、何を求めているかがわかってくる

―弟が生まれて姉を見る機会が減ったせいか、姉が急に甘えてくることがあります

弟や妹が生まれると、兄や姉は親の愛を取られた気持ちとか、比較する気持ちがどうしても生まれますね。

受験生を見ていても、兄に対するコンプレックスの反動で大学受験を目指す人もいます。

そういう時に親がすべきことは、一つの物差しだけで兄弟を比較しないこと。

勉強面だけ、運動面だけ、など、一面だけを取り上げて片方をほめてしまうと、もう片方がほめられない経験が増えてしまいます。

親はいろいろな物差しをもって、それぞれの良さを認めてあげてください。

物差しが多いと、それだけいろんな良さを引き出せますよ。

また、上の子が甘えてきた時は、甘えさせてあげてください。

一人ひとりを見て、今この子が満たされてない原因は何かな、と感じてあげるんです。

自発的に甘えてくる間はいいのですが、それもなくなってきたら問題です。

つまり、本人の中で諦めてしまっている、ということ。

そうなると別のことで親の気をひこうとします。

どうしたらかまってくれるだろうと考えて、病気になる子もいます。

ヒドイ場合、自傷行為になることも。

わざと大人が感情的になることをするのは、子どもの潜在意識がこうすればかまってくれるとわかっているからです。

ほめられても叱られてもどちらでもいい、とにかく自分の方を向いてほしい、そのためなら何でもやる、これが愛情欲求です。

これは赤ちゃんの頃からから始まっています。

「私を愛情で満たして!」と泣くのです。

―自分から甘えてくるのは悪くないのですね?

はい。普段は自由にさせてあげて、親は大事なところだけ方向づけてあげてください。

年齢があがるにつれて、待ってあげることも大切です。

「待つ」のは放任ではありません。見続けていると、ここは助けてあげないと、という場面もありますから、そこは助けてあげてください。その違いはずっと見ていないとわかりません。

つい反射的に何でもしてあげたくなりますが、子どもは一人で立ち上がった経験がないと、「自分はできる」という自信が育たないんです。

親は子をしっかり見て、子どもは今、何を求めているのか、何でこういう衝動なのかを観察してください。

子どもに意識を向け続けることが大切です。

―「見る」というのは、具体的に言うと…?

子どものエネルギーの状態です。子どものエネルギーが切れてくると身体がしぼみます。これは親に甘えたい時。

元気がない時やわがままを言う時もエネルギーがない状態です。何かがあってお母さんやお父さんに満たしてほしいんです。裏にどんな理由があるのかを気にしながら優しくしてあげてください。

逆に、身体がはっている時はエネルギーがあって遊びたい時。独立したい時です。

そういう時は方向づけをしてあげてください。

たとえば積み木を与えたり、走り回れる公園に連れていったり。

子どもを見て「今はプチ自立だな」「今は甘えたいんだな」ってエネルギーの状態を感じて、それを子どもからのメッセージとして受け止めて対応できたらいいですね。

親が成長していくのが「良い子育て」

―子育てを通して、どんな親を目指せばいいですか?

子育てのゴールは、将来子どもが自立して幸せな人生を全うすることです。

いつか親から離れていく、そのための訓練をしている、という意識は大切ですね。

毎日のことなので親は大変ですが、だからこそ、子育ては心を磨く修行になります。

子育てを通して人間理解が深まり、自分のことも深く理解できるようになります。

親にとって、大きな気づきや学びがあるのが良い子育てです。

親だからと言って、全て教えないといけないわけではありません。

子どもの直感や潜在能力を信頼してあげることも大事ですし、そこを認められる親になるのも成長です。

そういった部分を無視して「親の言うことを聞かせよう」ばかりになったら、将来、その圧力に対する反動で親の言うことを聞かなくなるか、全く無気力な子になるか、どちらかです。

逆に、子どもを信頼し、無条件の愛情で満たしてきた貯金があるほど、10代後半から子どもに自立心が芽生え、親はだいぶラクになりますよ。

―今後、どんなことを心がけるといいですか?

父母の役割分担をしてはどうでしょう。

お母さんはどちらかと言うと、無条件で受け入れてあげる存在です。子どもは親からの絶対的な安心を感じられると自信につながるから、外へ出てもその安心をベースにがんばれます。

そもそも外に出るのが億劫になっている子は絶対的な安心感がなく自信がありません。

子どもが幼いうちは、お母さんから無条件の愛情や承認を与えてあげてください。

お父さんは細かいことは言わないけど、大きい方向は示してあげる存在です。細かな社会ルールは子どもがチャレンジして、痛い目にあいながら身に付ける方がいいですね。

父性と母性は役割が違います。なのに、お父さんが忙しいからと、お母さんが母性も父性も担おうとする人もいますが、一人で二役は大変です。

お父さんは威厳をもって父性を果たしてください。普段は優しくても、威厳をもって伝えるべき時は空気を変えないといけない。その境界がなくなると、なしくずしになります。

良くない例は、お父さんが子どもに無関心で、子育てを全部押し付けられたお母さんがストレスを抱え、いつもイライラしながら家で夫への不満を漏らしている、という状態です。

両親の精神状態は子どもにうつります。さらに父親の威厳が失われ、家庭内の秩序が崩れた中で育つと、秩序が守れない子に育ってしまいかねないのです。それを防ぐためにも役割を分担し、お互いが子どもに何を伝えていくかをシェアしてはどうでしょう。

役割意識をもつとご両親の気持ちも安定します。部分的な方針だけじゃなくて、来年はどうなるかな、10年後はこうなったらいいな、と将来をイメージすると楽しいです。

子どもを親の理想の枠にはめすぎず柔軟でありながらも、要所要所で子どもたちを導いていく、そんな姿勢がいいですね。

お母さん
「甘えてきた時は、優しくしてあげます!ありがとうございました」

 

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