受験は心理戦。
大学受験でうまくいくかどうかはメンタルの強さ次第です。
問題練習に必要な集中力も、暗記に必要な忍耐力も、試験本番に必要な潜在能力も、すべてメンタルの強さに比例します。
そこで、どんな状況でもブレないメンタルを育て、ヤル気を下げる罠にはまらない秘訣を塾生たちに定期的にお話しています。
どうでもいい事が気になって止まらない「脳の便秘」
勉強したいのに、余計な思考がぐるぐる。
心はモヤモヤ。
そんなとき、頭の中で「脳の便秘」が起きている。
脳の中で思考と感情が詰まってしまい、出口を求めて暴れているのだ。
便秘は万病のもと。
腸内にたまったものが腐敗すると、腸内環境が悪化し、それが体内に伝染して肌荒れや腹痛を引き起こす。
これと同じことが脳内でも起こっている。
脳内に、悩みや葛藤、恨み、嫉妬、後悔、怒り、不安などが溜まっている状態だ。
こうなると思考も乱れて無意識にネガティブな言動をしてしまう。自分でやる気を下げてしまうのだ。
さらに便秘した腸は、いくら栄養ある食事をしてもうまく消化できない。
腐敗物が邪魔するからだ。
脳も同じことが言える。
いくら温かい言葉を聞いても、良いアドバイスをもらっても、脳の中に否定的な思いがあると、
「でも、私とあなたは違うから・・・」
「だって、時間がないんだもん」
「どうせ、変わらないよ」
と、打ち消してしまうのだ。
このような状態で新しい考え方や良い勉強法を知っても、活かすことは難しい。
自分で成長にブレーキを掛けてしまうからだ。
逆に思考の汚れを掃除してやれば、新しい考えや勉強法はスムーズに入っていく。
脳の汚れをクリーニングにする「ブレインエネマ」
では、どうすれば思考の汚れを掃除できるのか。
頭の中は目に見えない。
しかしそこには常に数万もの言葉がかけめぐっていると言われている。
その言葉を言語化し、洗い流していくのだ。
名付けて
「ブレインエネマ(脳内のゴミ捨て)」。
やり方はカンタン。
真っ白な紙とマジックペンを用意する。
紙は何でもいいのだが、おススメはトイレで流せる「トイレットペーパー」だ。
その紙に頭に浮かんでくる言葉や想念を書き出すだけ。
たとえば
「〇〇君のあの態度が嫌い」
「△△先生、わたしの成績をバカにして!」
といった怒りや満たされない思いや
「もし合格できなかったらどうしよう」
といった将来への不安を言葉にするのだ。
否定的な言葉を書くのは抵抗を感じるかもしれない。
でもそこで自分の思いを押さえ込む必要はない。
いろいろ出てきても考え込まず、全て出し切ることがポイント。
頭の中が空っぽになるまでどんどん書き出そう。
そして「もうこれ以上書けない! 頭が空っぽになった!」となったら、その紙はビリビリっと破ってゴミ箱に捨ててしまう。
トイレットペーパーならトイレに流すだけ。
締めくくりに、「わたしの想念は浄化されました。ネガティブな感情はもうありません」とアファメーションをして終了だ。
書くほどに、頭が良くなる
ブレインエネマのポイントは「書く」ことだ。
「書く」行為には、様々なメリットがある。
主だったものは以下の3つだ。
- 自分の頭の中を客観視できる。
- 緻密に物事を考えられるようになる。
- 心を整えて、感情をコントロールできるようになる。
社会人になったとき、言語化が上手なら何を書くにしてもクオリティが高くなる。
それはこの3つのメリットが活きてくるからだ。
まとまったものを書くためには、頭の中にあるものを言語化し、整理していく必要がある。
主観に偏ると、相手に正しく情報は伝わらない。
思考に緻密さがないと、内容が薄くなる。
さらに心が整い、感情が落ち着くと、文章表現も落ち着いてくるのだ。
受験生なら、先生に質問する前に頭の中を言語化してみると、質問のクオリティがあがるだろう。
聞きたいポイントが整理されていると先生も答えやすい。
たとえば、このような場合だ。
生徒:「先生、この問題がわかりません」
先生:「どこがわからないの?」
生徒:「う~ん、どこだろう・・・」
一方、良い質問とは、聞きたいポイントが明白なのだ。
何人たりとも、頭の中で考えているだけで、自分の思考を整理し、まとめることはできない。
どんな天才も、書かずして天才になった人はいないだろう。
「ブレインエネマ」は思考を解きほぐす近道だ。
天才でさえ、書いて思考を整理している。
発展途上中の受験生が一字も書かずに自分の思考を整理できるわけがない。
勉強に集中できない、イライラがおさまらないのは「脳の便秘」が起きていると考えよう。
とにかく、思いを書き出してみる。
そうして書いた人だけが見える地平があるのだ。
ブレインエネマ 実践方法のまとめ
「ブレインエネマ」とは脳内のネガティブな感情や思考を紙に書き出す浄化法だ。
〈実践ポイント〉
- 静かな部屋で一人で行うか、信頼できる先生に見てもらいながら行う。
- どんな内容であっても遠慮しない。書いた内容で自分を責めない。
- 時間がかかっても〝空っぽ〟になって心が落ち着くまで出し切る。
- 根底にある思考が出てきたら、ポジティブな思考に変換する。
- 一週間に一回、一ヶ月に一回と定期的に行う。