子育て・教育

子育て論 好奇心旺盛で活発な子の育て方

子どもにも親にも個性があります。個性があるから、それぞれの生き方は違うものです。

そこで今月は、個性の物差しの一つ“エネルギー”の概念を軸にした子育て論です。

子どものタイプによって接し方をどう工夫すると才能を伸ばすことにつながるでしょうか。

―娘は「エネルギーが高いタイプ」、つまり「好奇心旺盛で落ち着きのないタイプ」と言われました。どう育てていけばいいですか?

人の性質にはエネルギーが高いタイプと低いタイプがありますね。

これは大人になっても変わらないものなので、個性を知る物差しの一つとして知っておくといいです。

子育ての際にもムダな心配をせず、適切な判断ができるようになりますよ。

タイプの見分け方ですが、おおざっぱに「高いタイプ」「低いタイプ」に分けて言うと、高い人は「いろんなことを一度にこなせるタイプ」です。

好きなことも嫌いなこともやらせてみれば両方できてしまう人ですね。

一方、低い人は「一つのことに集中する方がよいタイプ」です。

いろんなことを同時にさせすぎると苦しくなってしまいます。

ポイントは、自分のタイプや個性を知って、それに合った活動を選んでいくこと。

子育ての場合も、その子にあった接し方を心がけることです。

―具体的には、どんな違いがあるのですか?

「一つのことに集中するのが得意なタイプ」は、好きなことに没頭するほど本領を発揮し、大きな成果をあげやすいです。

ですが、好きなこと以外の「~ねばならない」が生活の中に増えすぎるとストレスに感じます。

何かに巻き込まれる、というシチュエーションが続くのも苦手でしょう。

子どもなら一人でマイペースに遊ぶ方が心地いいと感じますし、大人なら「~ねばならない」ばかりの仕事はストレスで続きません。

たとえば、パンを焼くのが好きでパン屋さんになったなら、仕事は「パンを焼くだけ」に絞った方がいい。

なのに、経営や接客、部下の育成までやらないといけない、となると疲れてしまうんです。

逆に、「好奇心旺盛で落ち着きのないタイプ」は、溢れるエネルギーを全て消費できず余らせるとエネルギーを腐らせてしまい、いらない悩みや問題をつくってしまいます。

たとえば主婦の場合、専業主婦には向かないですね。

ずっと家に一人でいるとエネルギーの消化不良が起きて鬱になったりします。

子どもならカンシャクを起こしたり、寝てばかりの子になったり。

だから、娘さんが好奇心旺盛で活発に動き回る傾向が強いなら、好きなことも嫌いなことも、いろいろやらせていくといいです。

学校の勉強、家の手伝い、お稽古事もやったらいい。

多くの人と関わり様々なことにチャレンジさせてエネルギーをどんどん発散させていってください。

―子どものタイプに合った接し方があるんですね

その通りです。今は情報が多すぎて、教科書どおり、もしくは、親の期待どおりの反応がないと、すぐ「うちの子はおかしいんじゃないか、病気なんじゃないか」と心配するお母さんが増えています。

そうすると、子どもは萎縮して自分を表現できなくなってしまいます。

お母さんには、本やネットで情報を探すより、まずは子どもの個性やタイプ、興味の方向を見てあげてほしいですね。

一つことをコツコツさせると伸びる子に集団の中で競わせたり、急かしたりすると才能が開かなくなってしまいます。

逆に、外交的で活発な子の好奇心や衝動を抑えてばかりだと、その子の積極性が死んでしまいます。

娘さんは活発なタイプなので、自由にのびのび行動させてあげてください。

好奇心が外に向かっているのに、それを抑圧するとエネルギーを発散できず、後々問題になります。

自由にさせすぎるとわがままな子になってしまうんじゃないか、周りに迷惑をかけてしまうんじゃないかと心配になるかもしれませんが、3歳なら周囲に迷惑をかけてもいいじゃないですか。

「こういうことをすると迷惑がかかるでしょ」って言葉を、実際に迷惑がかかる前に言いすぎてしまう親って多いんです。

迷惑は幼い頃にかけておいた方が後で少なくなります。

エネルギーが充満しているのに、ムリにおとなしくさせて言うことを聞かせようとしても、親の言葉は耳に入りません。

一回、要求を外に出させて、エネルギーを発散させてからしつける方が、親の伝えたいことがちゃんと伝わるようになりますよ。

―親の接し方って、子どもの成長に影響しますか?

10年後ぐらいに影響が出てきますね。

まず、幼稚園までの子どもって、「~しなければならない」意識ってあまりないですよね。

ですが小学校に入ると急に増えます。

幼稚園までは自由でわがままでいられたのに、小学生になると規則に締め付けられる環境になります。

さらにお母さんも「ちゃんとしなければ」ってことに意識が集中すると、子どももイイ子を演じることに忙しくなって、エネルギーが抑えこまれてしまうんです。

子どもがイイ子だとお母さんはラクなのでなかなか問題に気づけないのですが、10年ぐらいたって大学受験を考える頃、困ったことになります。

進路を決める段階になっても子どもに“自分”がなく、やりたいことがわからないんです。

周りの顔色ばかり気にするようになってしまって、大人の要求にこたえることが人生の目標になっているんです。

―親の言うことを聞くから問題ない、と言うことではないんですね

はい、むしろ逆で、“イイ子病”を疑った方がいいです。

現段階は問題がなくても、お母さんの顔色を伺うクセがつくと、自分のやりたいことより、お母さんに怒られないためにやる、ということが増えていきます。

その影響が出るのが10代の後半期なんです。

特に同性の親子関係は気を付けてください。母親が娘の人生に期待をかけてしまいやすいんです。

お母さんの期待が大きすぎると、お母さんの価値観を娘に押し付けがちです。

それでは子どもは満たされませんし、自分の人生を生きられません。

そうすると長期的に関係性が悪くなることもあるんです。

母親は娘に期待しすぎず、要望をもちすぎないことがうまくいくポイントですね。

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