受験は心理戦。
大学受験でうまくいくかどうかはメンタルの強さ次第です。
問題練習に必要な集中力も、暗記に必要な忍耐力も、試験本番に必要な潜在能力も、全てメンタルの強さに比例します。
そこで、どんな状況でもブレないメンタルを育て、ヤル気を下げる罠にはまらない秘訣を塾生たちに定期的にお話しています。
大学はいくつ受験すべきか
大学受験に〝成功する〟って、どういうことだろうか。
第一志望に合格すること?
希望の学部に進学すること?
それらはたしかに、一つの目標だが、私はその更に先があるということを、南極老人に教わった。
「〝ご縁のある大学〟に合格しなさい」と。
ご縁のある大学とは、例えば10年後、あなたが人生を振り返ったときに、「あの大学に行ったからこそ、今の幸せがある」と、誇らしい気持ちで言えるような大学のこと。
今回は、受験勉強を通して自分に必要な大学とのご縁を結ぶ方法をお伝えしよう。
必要な大学とご縁を結ぶためには、いくつの大学を受験すれば良いのだろうか。
一人の受験生が受けられる大学の数は限られている。
たくさん受ければどこか一つは受かるだろう、と考える人もいるが、そう単純なものではない。
たくさん受けるとなると、やはり体力が要るし、費用もかかる。
試験が続けば疲れも出るだろう。
そのため塾では、ベストコンディションで挑むためにも、やたら増やさないように、また3日連続で受験しないようにと注意している。
そうやってスケジュールを立てていると、受験できる大学は絞られてくるものだ。
その一方で、いくつも受験したくない、第一志望しか受けたくない、という人もいる。
「この大学以外はイヤだ」といったこだわりが強いのだ。
もちろん、それがモチベーションとなっているなら悪くない。
でも、受験生がたった一つの大学しか受けないなんてナンセンスだ。
一つに執着すると、他の道が見えなくなる。
こだわりの大学に受からなかったときに絶望してしまうと、その次に訪れる新たなチャンスを逃してしまうからだ。
希望とは違う進路へ進んだのに意外な展開が訪れて、運命が好転することもよくある。
むしろそうして想像をも超えるような道が拓かれることこそ、人生の醍醐味だ、とも言えるのではないか。
計画通りにいかなかったことで、思わぬ才能が目覚めることもあるのだ。
だから大学受験塾ミスターステップアップでは、複数の大学を受けるように勧め、受験したときの肌感覚で自分に合いそうな大学を選ぶようにアドバイスをしている。
志望校合格よりも大事なこと
どの大学に進めば才能が開花するのか、どの大学なら素晴らしい出会いがあるのか、それは、行ってみないとわからない。
だからこそ今、受験生たちができることは、可能性の幅を広げることだ。
与えられたチャンスには、ベストを尽くそう。
私の場合、いくつもの大学を受験したが、京大の試験が終わった後だけ心地いい印象が残っていた。
ここから何かが始まるような予感がしたのだ。
南極老人からは、
「受験生は第一志望に合格することより、いい顔をして大学に通える方が大切だ。
もっと言えば、10年後、20年後にも、しあわせな人生を歩んでいなければ、大学に合格したことを成功とは言えない」
と教わった。
受験生本人すら、想像したこともないくらい先の未来まで見越して指導してくれる先生が、他にいるだろうか。
私は受験時代、南極老人に大学受験を預けていたつもりだったが、実際は人生を預けていたのだ。
「大学合格」は受験勉強のゴールかもしれないが、人生においてはスタートである。
その大学から、全てが始まるのだ。
勉強が人と出会う練習になる
どの大学に進むかで出会う人は変わる。
誰にでも幸せな未来へつながる〝ご縁〟が存在する。
そんなご縁のある大学に導かれるかどうかは、日々の姿勢で決まるのだ。
運命の誰かに出会ったとき、自分の中身が追いついていなかったらご縁が深まらない。
では、中身を磨くには、どうしたらいいか。
それは、一生懸命に、本気で、死に物狂いで勉強することだ。
とは言っても、やみくもに勉強すればいいというワケではない。
視点を広げてみてほしい。
各教科の勉強は、人と出会う力を磨くトレーニングにもなっている。
たとえば『現代文読解』は、他者との出会いの練習だと思えばいい。
相手の主張がどんなものであれ、自分とは異なる意見や価値観の持ち主を理解するためトレーニングだ。
『英文読解』は、異文化の人との出会いだ。
外国人の顔や名前を覚えるのと同じような気持ちで英単語と向き合ってみよう。
こころを柔軟にするほど、たくさん覚えられる。
『歴史』を学ぶとは、出会った人の生い立ちや背景を知るのと同じだ。
人に興味を持ち、相手の人生のストーリーを知れば、すぐに仲良くなれる。
『化学』の面白さは、化学反応にある。
人と人との出会いも化学反応だ。
一人ひとりの個性が溶け合うと、どんな変化が起こるのか。観察する目を養っていこう。
『数学』を学ぶのは、問題解決力を鍛えるため。
たとえば初見の問題と向き合ったとき、突破口はどこか、共通点はないか、と答えを出すための糸口を探すものだ。
その姿勢は、社会に出てからも役に立つ。
問題にぶつかったときは、同じ姿勢で解決策を考えていけばいい。
十代後半から二十代前半の若者は、卒業してからの人生について、
- どんな仕事が向いているか
- 将来、何になりたいか
を中心に考えがちだ。
けれども才能が開花したり、大きな仕事を成し遂げる人は必ずその裏で、才能を見出してくれた〝誰か〟との出会いを果たしているもの。
自分を支えてくれるパートナーや仲間との良き出会いに恵まれて、天職に巡り合っているもの。
人生は出会いで決まる。
あなたがそんな運命の出会いを果たすための、ご縁のある大学に導かれることを、心から願う。